アッコとケンゴ

寿之伸

2008年07月23日 01:21

夜中の一時くらい。

研修所の古いトイレに行くと、

真っ暗闇の中で、歯を磨いているケンゴを見つけた。



シャカシャカシャカシャカ・・・歯磨きの音。

「ケンゴ?か?」

「そーっす。。。。」

少し怒ったようにケンゴはそう言った。泣いていたと思う。


ケンゴは同期で一番の男前。きっと今まで恋愛は常に不戦勝。。

そんな彼が、新人研修中に年上の女性に告白してフラれた。


その女性の名はアッコちゃん。僕の二つ下で、ケンゴの一つ上。

美人で愛嬌のある、僕ら同期のマドンナ的な存在だ。


僕とアッコちゃんは、配属先が同じと決まっていた。

そのこともあってか、ケンゴは僕によく相談してきた。

僕も当時すでに28歳。

もう周りの友人は落ち着いていて、こんなに一生懸命に恋をしてるやつを久しく見ていなかった。

何よりも二人とも最高にいいやつで、本当にお似合いの二人だった。

だから上手くいってほしいと思い、できる限りケンゴを応援していた。


だけど恋愛って難しい。

誰もが、この恋は成就すると思っていたのに、ケンゴは一生懸命頑張ったのに。

アッコちゃんはケンゴを選ばなかった。。。。。






昨日は、同期のBBQ、みんなで朝の4時まで飲み続けた。

起きると、まだ朝8時、ペンションの台所から料理の音。

しっかり者の二人が、すでにみんなの朝食の準備をはじめている。




あれから三年たっても、こんなにお似合いだ。




きっともう僕だけなんだろうなぁ。

まだ二人に期待しちゃってるのは。。。。

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