夜中の一時くらい。
研修所の古いトイレに行くと、
真っ暗闇の中で、歯を磨いているケンゴを見つけた。
シャカシャカシャカシャカ・・・歯磨きの音。
「ケンゴ?か?」
「そーっす。。。。」
少し怒ったようにケンゴはそう言った。泣いていたと思う。
ケンゴは同期で一番の男前。きっと今まで恋愛は常に不戦勝。。
そんな彼が、新人研修中に年上の女性に告白してフラれた。
その女性の名はアッコちゃん。僕の二つ下で、ケンゴの一つ上。
美人で愛嬌のある、僕ら同期のマドンナ的な存在だ。
僕とアッコちゃんは、配属先が同じと決まっていた。
そのこともあってか、ケンゴは僕によく相談してきた。
僕も当時すでに28歳。
もう周りの友人は落ち着いていて、こんなに一生懸命に恋をしてるやつを久しく見ていなかった。
何よりも二人とも最高にいいやつで、本当にお似合いの二人だった。
だから上手くいってほしいと思い、できる限りケンゴを応援していた。
だけど恋愛って難しい。
誰もが、この恋は成就すると思っていたのに、ケンゴは一生懸命頑張ったのに。
アッコちゃんはケンゴを選ばなかった。。。。。
昨日は、同期のBBQ、みんなで朝の4時まで飲み続けた。
起きると、まだ朝8時、ペンションの台所から料理の音。
しっかり者の二人が、すでにみんなの朝食の準備をはじめている。
あれから三年たっても、こんなにお似合いだ。
きっともう僕だけなんだろうなぁ。
まだ二人に期待しちゃってるのは。。。。