Natural eco hair

寿之伸

2008年08月03日 21:28


「超高いっ。めちゃくちゃ高いっ。押すなよ。まじで押すなよ。」

那覇市のある歩道橋の上、午前二時。

誰にも頼まれていないのに、欄干を跨いだ34歳が、そう叫んでいる。





「そんな高くないから大丈夫だよ。グッさん、ジムで鍛えてるし降りれるって。」

ヨナさんが、吸いかけのタバコを指で小突きながら、笑顔で返事をする。

「ヨナさん、どーする?そろそろ帰ります?グッさんは?まだ帰らないっすよね?」

早く帰りたい僕が、時計を見ながらそう二人に聞いてみる。

「も~帰るよ~。つ~か俺も、そろそろ帰ろうと思ってたし。」

欄干を降りて、スラックスを軽く叩きながら、

グッさんが、いつものように答え返す。


「・・・かえろっかぁ~。」

そう答えたのは、ヨナさん。





いつも、ほんわか、ゆったりなヨナさん。

ここ最近は、いっつも半ズボンで、それがよく似合っている。

カリスマのグッチが、よく褒めているので、今年は冬も半ズボンだろう。

今日は、そんなヨナさんからの召集。

こんなに三名で飲んでて、ヨナさんからの召集は初めて。





「んで、ヨナッチどーしたって?」

仕事を終えて、少し遅れてお店に現れたグッチは、

ヨナさんがトイレに行くのを見届けると、チャンスとばかりに僕に尋ねた。

「いやぁ~。何も言ってこないし、いつも通りっすね。」

「いやだけど、めずらしいだろ。アイツから集合かかるって。。」

「俺も、そう思ってたんすけど。。ねぇ。。」
   


日付も変わって一時間。

閉店が近づいて、客足もだいぶ引いてきた。

「そろそろ、出ますか~。」

と、僕。

「カルピス飲みて~しな。」

と、グッチ。



帰り道、

冒頭の歩道橋を降りて、しばらく歩いたころで、ヨナさんが、

「ねぇ~俺、お店の名前変えたらダメ?」





「ヨナヘアーをっすか?」

と、僕。

ネコヘアー。」

と、ヨナさん。

「俺好きだけど、ボブヘアー。」

と、グッチ。

ネコヘアー。」

と、ヨナさん。

「・・・・・・・・。」

と、ヨナさん。





8月3日の鬼さん

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